エンジニアが晩飯をクリエイト - 日常のヒホ

エンジニアが日常を生きるのに四苦八苦するブログ

5日目、豆腐ハンバーグ

 今日は昨日の宣言通りハンバーグを作る。ハンバーグはひき肉を主体として構成されるが、ひき肉は非常に高いため豆腐を加えてかさ増しするのがコツなようだ。家には購入後一週間ほど経ったキュウリ、ニンジン、キャベツ、卵があるが、ひき肉と豆腐はない。この2つと玉ねぎやパン粉を適当な量だけ調達し、意気揚々と台所に向かった。

 参考文献によると、豆腐ハンバーグの作成手順はだいたい次のようなものらしい。

  1. ご飯を炊く
  2. 玉ねぎ、にんじんを炒める
  3. ボールにひき肉・玉ねぎ・にんじん・パン粉・卵・醤油・塩コショウなどを入れてこねる
  4. こねたものを手にとって丸め、温まったフライパンに乗せる
  5. 片面が焼けたらひっくり返す
  6. 5分間蒸す
  7. タレを入れてちょっと蒸す
  8. 皿に盛り付ける
  9. サラダを作る

 実は、今回はものすごく上手く出来た。まず完成品を御覧いただきたい。

f:id:hihokaruta:20160408230926j:plain

 写真の通りハンバーグが完成した。作成目標と生成物がここまで一致したのはこれが初めてだ。味もとても美味しかった。しかし、これを作るのに全てが順風満帆というわけではなかった。

 まず始めに、購入した肉と豆腐の量が多すぎた。この時気づいたが、参考にしたレシピは4人前だったのだ。仕方なく続行したが、生地をこねるのに必要な大きさのボールが無いという問題が発生した。とりあえず綺麗なビニル袋に入れて混ぜた。以降、これが原因で問題は起こらなかった。

 実はこれ以外に、「米を炊くのを忘れていた」、「タレに必要なみりんが無い」、「酒も無い」、「生地に卵を入れ忘れた」などの軽微な問題は発生したが、大きな問題は発生しなかったのだ。フライパンでハンバーグを蒸すための蓋もなかったが、鍋の蓋でなんとかなった。応急処置が全てうまく行っている。これはハンバーグができるかもしれない。

 蒸し焼きの際にタレが必要だが、手元には醤油と砂糖しか無かった。その時なんとなく、醤油をかけて砂糖を溶かして絡める事を思いついた。適量は不明だったが手が自然に動いた。料理クリエイターとしての覚醒を感じていた。

 ハンバーグが正しく焼き上がったときは感極まった。しかし余っている野菜を使うことを優先し、次にサラダを作成した。用いたキャベツは千切りされてパックして売られていたもので、賞味期限は2日前だった。匂いや見た目等、特に違和感が無かったためそのまま使用した。野菜は意外ともつようだ。

 サラダ完成後、ご飯を盛り付けて写真を撮り、急いでハンバーグを食した。とても、とても美味しかった。この部屋でこんなにうまいものが食べられるとは思っていなかった。あまりに嬉しく、笑い、叫び、感動しながら食べた。初めてご飯をおかわりした。この感覚はきっと忘れないだろう。

 卵の入れ忘れに関してはこのレポートを書くときに気づいた。ハンバーグのふわとろ感に違和感を覚えたのはこれが原因だったらしい。あの美味しかったハンバーグは更に美味しくなる可能性を秘めている。

 このように今回初めて料理に正しく成功したが、同時にエンジニアなら誰でも味わったであろうあの虚無感に駆られていた。ああ、できてしまった、と。自分が挑むのはその問題が難しいからであり、解決してしまえばその問題は問題でなくなるのだ。もう二度とチャレンジできなくなる。同じことを反復するのは無意味でしかない。私はこの豆腐ハンバーグを作ろうとしないだろう。

 同時にもう1つわかったことがある。料理は確率論だ。今まで何度か料理に挑戦し、不完全な料理しか作成できなかったのは、自分の料理スキルが乏しいためだと思っていた。しかしどうやらこれは違うらしい。今回も今まで同様、本能の赴くまま料理を作成した。違ったのは、やったことが全て裏目に出なかった、つまり運が良かった点だ。人は料理の回数をこなして状況判断能力を上達させ、裏目に出ない方法を学んで成功率を高めるのだろう。料理はプログラミングの世界とは異なる、全く新しい世界だったのだ。ますます作成意欲が湧く。明日は何を作ろうか。